第一回モンスーンフェノロジー研究会


2003/01/31@IIS

10:00 里村先生:趣旨説明
10:15〜 気象学的側面
10:15 松本先生:概要
  • Special issue "Phenology and Climate" was published!
  • 雨は4月の終わりから降り始め、対流活動は5月中旬に活発になる。
  • Zhang et al.(2002) モンスーンオンセットの時期と降水量に良い相関
  • バングラデシュ:大洪水の翌年収穫高が激増する。
  • 10:35 高藪 縁:TRMM
  • 海上では層状・対流同程度の頻度。陸上では午後に対流性が卓越。
  • 10:45 立花先生:モンスーン度分布
  • 増田(2002):夏と冬の風の分散からモンスーン域を定義。
  • 10:50 荻野さん:逆転層
  • 逆転層という蓋が取れたとき、雨季が始まるというシステムはもっともらしい。しかし、いつ起こるのか?
  • 10:55 里村先生(静大):GPS可降水量
  • 測地学でのノイズが、気象学では信号。
  • 11:05 篠田さん:アジアモンスーン梅雨前線等北方気象に与える影響
  • 梅雨前線に伴う南シナ海の亜熱帯低気圧で、中国沿岸部(長江あたり)にしばしば深い対流雲ができる。メソモデルで再現。
  • 『雲屋』も一つの雲を追ってる場合ではない!
  • 降水パラメタリゼーションの再構築が最終目標。
  • 11:12 鼎さん:森林伐採とモンスーン
  • 9月の降水量はタイ全域で減少!森林伐採?GCMで再現。
  • 11:20 質疑
    山中先生 現在の現象に特化した研究が多い。
    沖先生 何が面白いかという点があまり強調されてない。これじゃ短い研究発表会。
    沖+山中 何がモンスーン?
    松本 定義はあまり意味ない。だけど、自分的には東南アジアを中心にみたい。『季節』にもっと関心を持って研究すべき。
    蔵治 サイエンス的自己慢?どうやったら両立できるのかを議論すべき。その視点を持つ努力を。

    11:26〜 生態学的側面
    11:26 杉本先生:水熱炭素循環に対して、生物圏が持つ機能のうち重要な(誰も気付いていない)フィードバックを発見したい。
  • 衛星・フラックス・地道な調査
  • 松の葉っぱ。1998年だけ乾燥によって冬の準備ができなかった。
  • 炭素同位体比は、前年の水ストレスによって上下する。
  • 翌年、翌々年へのフィードバックに注目(ラグ相関)
  • 11:36 瀧澤さん:コグマタワー
  • アルベドとLAIに負の相関。
  • 11:50 西田さん(代弁杉本先生):衛星フェノロジー
    11:58 林さん:バングラデシュ
  • JICA関連での洪水被害調査などをおこなった。その際気象データを多く集めたため、きちんとしたデータセットにして今年4月公開予定。
  • 疾患の月変化・年変化。4月5月(暑い時期、雨季の前)にピーク。
  • 12:13 大手先生:フラックス
  • 川の水のpHは季節変動する。±1くらい。
  • アメリカの養分循環のモデルはユニバーサルではないのでは?もっとハイドロロジカルなプロセスが効いてる。
  • 12:30 酒井さん(筑波大):東南アジアのフタバガキ林の一斉開花現象
  • 一斉開花とは?数年に一度どかっと咲く。それ以外は咲かない場合も多い。
  • フェノロジーの研究はアメリカ(新熱帯)で盛ん。そちらでは、年1回かそれ以上開花する。
  • 普通の一斉開花(例えば桜)は積算温度によって決まるとされるが、同時に将来も予測して(例えばもう霜は降りない)いる。→フタバガキ林の複数年周期の開花はどうなのか?
  • 12:50 質疑
    鼎さん 昔モンスーンは強かったのか弱かったのか?これまでの研究は東南アジアで抜けてる。面白いのでは?
    太田さん 開花うんぬんに関する、植物側の戦略はなんだろうか。
    杉本先生 生化学の分野とのコラボレーションが必要?
    田中さん 乾燥か低温かというのは、実質同じこと。熱容量が小さいから。
    蔵治さん 完全に一致していない。
    山中先生 一斉開花の空間スケールは?気候側の観測のヒントにもなる。どの程度カバーしているのかが分かる。
    蔵治さん 降水量に関して、1点の30日間移動平均はかなりの空間を代表する。2.5x2.5と良い一致。
    平川先生 『人間とのかかわり』というところが欠落しているのでは?

    13:00〜13:45 昼食

    13:45〜 人文・社会学的側面 (自分は14:30まで雑用。むか〜)
    14:30 永田先生(東大総合文化):スマトラ・マレー半島における経済発展と社会システム変化
    15:02 松本さん(上智大法学):環境法理論体系化
  • ミクロな部分で分からないことが多いのに(フラックス観測等の報告を見て)、 CO2削減に関する売買はそもそも成り立つのか?
  • コスタリカ:発展途上国でありながら、森林を保全している。
  • 制度が人に与える影響に興味。
  • 15:25 佐藤さん(新領域)
  • 文化人類学と経営学は犬猿。
  • 開発と環境の両立。大きな宝石を見つけた村人は不幸になる(東カリマンタン言い伝え)。
  • 『貧困はその貧困ゆえに短期的視野しかもてない』というロジックは一人歩きしている。
  • ポリティカル・エコロジー論:内部の動向だけではなく、外部要因も考慮しなければいけない。 →あたりまえ。
  • 『村人が増えると森林も増える』:これまで常識とされることと逆のことを実証した。
  • 現在の興味:為政者側の情報収集・判断・意図とは?また政策の伝達速度は?(システム?)
  • 我々の研究がどのように為政者側に伝えられるのか?を調べたいから、伝えられることを前提とした研究をすべき
  • 下っ端の役人はどんなことをしてるのか。それがどのように政策に返ってくるか。
  • 15:50 平川さん:自己紹介
  • 官僚時代は『誰がやるんだ』というお題目を並べてたらしい。
  • 専門はEffective Schooling
  • 『正しい』科学がどうやったら受け入れられやすいか考えなければいけない。
  • 沖 正しい正しくないの他に、『どうでもいい』という知識がある。大部分はどうでもいいことだから、どうしたら『どうでもよくな』くなるのか、知らしめるべき。
    16:20 虫明先生:今後の野望
  • 地文的要因についてもっと注目しよう。
  • 棚田:斜面侵食・土砂流出防止の役割
  • 山中先生 各国各地の社会特性・自然特性があるから、日本の技術移転がうまくいくとは限らない。
  • 熟度の移転(この技術はこの地域にとってどれくらい必要かを知らしめる等)も必要。

  • 17:05〜 総合討論:里村先生
    データ、モデル、知識、研究基盤の共有→おそらく地球研サイト
    分かりやすく、挑戦し甲斐のある疑問を明確に。
    我々が追求している世界観は何か?
    増田さん 『陸上の水が夏の間にたまる』というのがモンスーン?Flood Plain or Upland。雨が降って地面が浸るか浸らないか。
    鼎さん 森。
    大手先生 Land Use Change
    佐藤さん 誰に対しての研究か。それぞれの分野でループが閉じないように。成果の出し方?キーワードはディシプリン。