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全球気候モデルで河川を表現する

気候モデルNICAMでの河川シミュレーション

気候モデルNICAMでの全球7㎞河川網

気候モデルNICAMでの全球7㎞河川網

Yamazaki et al., 2012, Hydrology and Earth System Science.

陸上に降った雨は、一部は蒸発して大気に戻りますが、残りは河川を通して海洋へと流出します。これが、大気-陸域-海洋を結ぶ「地球水循環」です。河川は、人間活動に必要な水資源を供給するだけでなく、海洋への淡水供給によって熱塩循環に影響しており気候システムの形成にとって重要な役割を担っています。

当研究室では、気候モデルの一要素として河川サブモデルの開発を担当しており、気候変動予測などに貢献しています。
左図は六角形格子によって高解像度計算を実現する気候モデルNICAMの特殊な格子系に実装した河川サブモデルによる河川流量のシミュレーションです。

 

リアルタイム洪水予測システムの開発

2015年9月9日15時(JST)から39時間後までの洪水予測

バーが高いほど洪水発生確率が高い
[9月9日15時~11日6時]

9/10 06:00 若宮戸地先 溢水
9/10 12:50 三坂町地先 堤防決壊

洪水は未だ世界中で対策が叫ばれている災害の一つです。これを踏まえ当研究室では、洪水を数十時間~数日前からリアルタイムに予測するシステムを開発しています。長時間前に洪水発生が予測される地点を知っておく事で、避難準備や水防対策等を事前に余裕をもって行う事ができます。

左図は2015年鬼怒川洪水を予測したものです。実際の破堤が起こる22時間前には、当該時刻に鬼怒川で高い洪水発生確率を予測している事が分かります。

当研究室では日本域に限らず世界全域を対象にグローバルな洪水予測を展開しています。

 

東京に降る雨水はどこから来る?

水蒸気に仮想的な色を着け、それらがどのように動いて混じっていき、雨となっていくのかを計算するツール、Colored Moisture Analysis(CMA)を開発し、可視化しました。

4月から5月上旬にかけて赤道の南にとどまっているインド洋からの「青い水」が、5月の終わりからは赤道を越えインドシナ半島や日本のあたりにまで到達していることがわかります。まさにアジアモンスーンの動きそのものを表しています。

その後9月の終わり頃には、「青い水」は再度赤道の南に引っ込みますが中国からの「緑の水」がインドシナ半島に南下します。このような「陸起源の水」は人間活動の影響を受けやすく、タイ等における9月の雨の減少の原因にもなっています。

 

水の安定同位体を通して、地球水循環を理解する

Frankenberg, C., K. Yoshimura, et al., 2009, Science

水の安定同位体と呼ばれるHDO・ H2O18は、蒸発や凝結などの水の相変化の影響を強く受けます。私達は、その自然が残してくれた相変化の痕跡を追って、地球上の水循環の解明を目指しています。

今世紀に入り、空気中に含まれる水蒸気のうち、ほんの僅かな量の水の同位体の量までが人工衛星に搭載された分光分析計で測れるようになりました。上図の左は、ヨーロッパの地球観測衛星Envisatに搭載されたSCIAMACHYから得られた大気鉛直柱中の同位体比(δD)の空間分布、右は同位体大循環モデルから得られたものです。

 

放射性物質の移流拡散シミュレーション

領域同位体輸送モデルIso-RSMによる福島第一原発事故時における放射性プリュームの輸送

領域同位体輸送モデルIsoRSMを改造し、 福島第一原発事故で発生した放射性プリューム(セシウム137やヨウ素131など)の変遷を シミュレートしています。

2011年3月14日夜から3月の終わりにかけての放射性プリュームの動きを解析することで、 首都圏東部において実際に生じた比較的高濃度の汚染地域(ホットスポット)の形成要因を 解明しました。

Yoshikane, T., K. Yoshimura, E.-C. Chang, A. Saya, and T. Oki, 2016 Scientific Reports

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